『異端者の家』レビュー|ヒュー・グラントが怖い!会話劇は面白いが後半が惜しいA24映画

映画レビュー

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序盤30分は、今年観たA24映画の中でも屈指の出来だと思います。

会話だけで相手を追い詰めていく緊張感。

「異端者の男」の得体の知れなさ。

これらが積み重なり、久々に「当たりのA24映画」を予感させる導入でした。


作品情報


タイトル:異端者の家(原題:Heretic)
監督・脚本:スコット・ベック、ブライアン・ウッズ
出演:ヒュー・グラント、ソフィー・サッチャー、クロエ・イースト

『クワイエット・プレイス』の脚本で知られるスコット・ベック&ブライアン・ウッズが監督・脚本を担当したA24作品です。

あらすじ

布教活動のため森の一軒家を訪れた、若いシスター2人。

家主の男性リードは笑顔で迎え入れますが、玄関の鍵がかかり、携帯電話も繋がらなくなります。

リードは宗教について持論を語り出し、2人は不穏な空気を察して帰ろうとします。

身の危険を感じた2人は、教会から呼び戻されたと嘘をつきますが、リードは家の奥にある扉からしか出られないと告げます。

その家には、数々の恐ろしい仕掛けが張り巡らされていました。

信仰を試される、脱出サイコスリラーです。

良かった点|会話劇が生む緊張感

男の家を訪ねた直後から会話劇が始まり、独特の緊張感が漂います。前半は会話のみで進行しますが、テンポが良く飽きずに見られる構成です。

会話が進むにつれ、ジワジワと観客側にも緊張感が伝わってきます。

小さな違和感が積み重なり、「この男は何かおかしい」という疑念へと変わっていきます。

ここで効いているのがヒュー・グラントの演技です。

笑顔や柔らかな話し方を崩さないまま、少しずつ面倒で厄介な人物に見えてくる。この変化が前半の緊張感を生み出しています。

リードが語る宗教観も興味深く、現存する宗教をどう捉え、どこへ話を着地させるのか。彼の考えにもっと耳を傾けたくなる導入でした。



今イチな点|知的な男の底が見えてしまう

序盤は、リードの定めたルールを読み解けば真相にたどり着ける物語だと感じていました。

しかし後半になるにつれ、彼の言動に矛盾が見え始めます。

宗教にまつわる話や例えも、序盤ほどの深みは感じられませんでした。

特に気になったのが、シスター・パクストンとシスター・バーンズの行動を細かく記録していた設定です。

最終的に明かされる真相を見ても、何のためにそこまで研究を続けていたのか、十分な説得力を感じられませんでした。

ここが本作で一番惜しかった部分です。そのせいで、少し白けてしまいました。

序盤のリードは、独自の思想を持ち、新旧の宗教に通じた「知的だからこそ手に負えない異端者」に見えていました。

ところが話が進むにつれ、意味のないことを本人だけが真剣に続ける人物に見えてしまいます。

最後まで真意の読めない異端者であり続けてくれたなら、2人がどう出し抜くのかという駆け引きにも、もっと緊張感が生まれたはずです。

会話だけで相手を追い込んでいく序盤はかなり好みです。

だからこそ、リードの思想や目的にもう一段理由があれば、2回目も観たくなる作品になっていたと思います。

モッチのまとめ

スコット・ベック&ブライアン・ウッズが監督・脚本を務めていても、A24が製作となると、最後はフワッと着地する「A24ルール」でもあるのでしょうか。

作中に映される家の模型など、随所に散りばめられた小道具の数々。ネタバレになるので詳細は控えますが、これらが伏線として活かされず「アレもコレも必要だった?」と感じてしまったのは残念でした。

前半は「今回は個人的に当たりのA24映画になりそう」と期待させる導入だっただけに、そこが惜しいところです。

ただ、これは私の感度が鈍くて、比喩を拾いきれていないだけかもしれません。


📌掲載情報は2026年8月時点のものです。最新の配信・特典状況は各公式サイトにてご確認ください。
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