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旅先で出会った、感じのいい夫婦。
数か月後、その夫婦から招待状が届きます。
「せっかくだし、行ってみようか」
そんな軽い気持ちで訪れた田舎の家。
歓迎されて、美味しい食事を囲み、穏やかな時間を過ごす。
それなのに、なぜか落ち着かない。
小さな違和感が何度も顔を出すのに、誰もはっきり口にしない。
そして、その違和感の意味に気づいたときには、もう引き返せなくなっている。
映画『胸騒ぎ』は、その名の通り胸騒ぎが最後まで続く一本です。
『胸騒ぎ』とはどんな映画なのか
『胸騒ぎ』は2022年制作のデンマーク・オランダ合作映画です。
原題は『Speak No Evil』。
監督はクリスチャン・タフドルップです。
ホラー映画に分類されることが多い作品ですが、いわゆる驚かせる演出に頼った映画ではありません。
怪物も出てきません。
派手な事件もなかなか起きません。
それでも観ている間、ずっと落ち着かない。
むしろ何も起きない時間こそが怖い映画です。
恐怖の正体は「違和感」
『胸騒ぎ』を観ていて何より印象に残るのは、人間関係の気まずさです。
招待してくれた相手だから。
悪気はないのかもしれないから。
せっかく来たのだから。
そんな気持ちが積み重なり、主人公たちは何度も違和感を飲み込んでしまいます。
観ているこちらは、
「それは断った方がいいのでは?」
「もう帰ればいいのでは?」
と思うのですが、それでも彼らは帰りません。
正直、わたしは「いや、もう帰れよ」と思いました。
原題の『Speak No Evil』は直訳すると「悪いことを言わない」。
この映画が怖いのは、特別な状況の話ではなく、誰にでも覚えのある遠慮や気遣いの延長線上にあるからです。
観終わったあとも、映画の出来事というより、自分ならどうしただろうと考えてしまいました。
たぶん私は帰ります。
勇気は振り絞るけど。
救いのなさに、少し感心してしまった
私は『胸騒ぎ』を観たあと、そのままリメイク版を続けて観ました。
普段はブラムハウス作品のような、大衆向けのエンタメ映画が好みです。
だから正直、最初はリメイク版の方が自分に合うと思っていました。
ところが観終わってみると、強く印象に残ったのはオリジナル版の方でした。
胸糞で、救いもなく、最後まで容赦がない。
普通なら好みから外れていてもおかしくない作品です。
それでも、この徹底した救いのなさには妙な説得力がありました。
最近はここまで観客に迎合しない映画も少なくなった気がするので、「よくここまでやり切ったな」と少し感心してしまいました。
同じ物語、異なる結末
「気になるけれど重すぎる映画は、ちょっと無理」という方は、2024年公開のリメイク版『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』から入るのもありです。
主演はジェームズ・マカヴォイ。
物語の構成は共通していますが、後半の方向性はかなり異なります。
オリジナルが観客に問いを投げかける作品だとすれば、リメイク版はスリラーとしての面白さを強めたエンタメ寄りの作品です。
ただ、個人的には先に『胸騒ぎ』を観ることをおすすめします。
この映画特有の居心地の悪さは、何も知らない状態で味わう方が強く残るからです。
モッチのまとめ
『胸騒ぎ』は、幽霊や怪物が怖い映画ではありません。
人の遠慮や礼儀、そして「波風を立てたくない」という気持ちが怖い映画です。
観終わったあとも、後味の悪さがじわじわとつきまといます。
最近のホラー映画に物足りなさを感じている方は、一度試してみてください。
「胸糞映画」と語られる理由を、身をもって体験できる一本です。
※2026年6月時点では、オリジナル版『胸騒ぎ』はU-NEXTで見放題配信中。リメイク版『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』はレンタル配信で視聴できます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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